下校時間はとっくに過ぎてるのに部室の鍵を返してないから校内に残ってるのはバレバレ。
顧問が突入してきたらその時点でゲームオーバー。
だから二人とも必タヒになって作業をしたんだ。たぶん無言だったと思う。
結局、顧問は最後まで部室に来ることはなく現像作業は無事終わった。
きっと彼女の転校を知ってて見逃してくれたんだと思う。
当時からお爺ちゃん先生で、今はもう他界してるから真相は聞けないんだけど。
そして一人3枚合計6枚のプリントが仕上がると彼女はその裏にメッセージを書き始めた。
そのメッセージが今、俺の手にある。
俺の写真の裏に「先輩、大好きです! 後輩より」
ツーショット写真の裏に「いつかまた会えるといいな……日付」
俺も彼女に渡す写真の裏に何か書いたハズなんだけど覚えてない。
思い出せないということは、たぶん恥ずかしいことを書いたハズ。
できれば一生見たくない気がしないでもない。
俺 「あのさ、また会えないかな? 春休みとかさ……」
彼女「たぶん無理です……遠いから……」
俺 「そっか……」
この時点で相当落ち込んだ俺。涙目に涙声だったと思います。
そしたら彼女がカバンからゴソゴソと何か出してきたんだ。
みてるよ
>>44 ありがとう。
彼女「先輩、あの……コレ、受け取ってください」
俺 「何?」
彼女「ちょっと早いけどバレンタインのチョコです……
だから……次に会うのは10年後のホワイトデーとかどうですか?」
俺 「う、うん、そうだね……」
彼女「はぃ……では10年後のホワイトデー、この時間にあの公園で……約束ですね」
俺もかわいい後輩欲しかった
>>46 そうですね。ありがとう。
おい。すっぽかしたのかよ。
>>48 というか…
彼女はそう言うとツーショット写真のメッセージに「20xx年3月14日xx時」と書き足した。
でも、その頃の俺には10年なんてとんでもなく遠い時間に思えたんだわ。
だから体よく拒否られた上に気を使ってフォローまでしてもらったと思いました。
そんなわけで写真もチョコも部室に放置したまま家に帰ったと……
ええ
>>50 ヘタレでした。
結局その日以降、中学には一度も行かなかったけど、高校受験は婆ちゃんや先生に説得されて
なんとか地元の底辺私立男子校へ潜り込んだ。
当時の俺は制服女子の姿を見るだけで彼女のことを思い出して涙ぐむようなトラウマ状態
だったから男子校は思ったよりも居心地がよかった。
今考えると厨坊の分際で恋愛絡みの不登校とかとんだマセガキ。
というか免疫不全で重症化したんだろうね。
そんな俺も最終的には彼女を憎むことで状況を克服したと。
なんでそういう結論に達したのかわからないけど、きっとそれが一番楽だったんだと思う。
そして彼女のことを忘れるために家にあった部活関係のモノはすべて処分した。
写真やネガは全て焼却、カメラやレンズは婆ちゃんに頼んで売却。
カメラは爺ちゃんの形見だったけど婆ちゃんは何も言わずに処分してくれた。
ごめんよ婆ちゃん。
そんなわけで形のあるモノは何一つ残ってないハズだった。
記憶も封印したから二度と思い出すことのない思い出だったんだけど……
ところが3枚の写真がこうして俺の手元に戻ってきた。
部室に放置されていたものを顧問が見つけて俺の代わりにカプセルに入れてくれたから。
丁寧な手紙を添えて。そのおかげで大事な思い出が蘇ったということ。
ちょっとうるっときた
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