大学生の頃、バイト先の飲食店のオーナーと付き合っていた。
当時20歳の子娘には、バツイチの大人(40歳)の男性(夫)がカッコよく見えていたらしい。
色々謎が多い人だったが、それもちょっと魅力だったかも。
とあるスポーツのインストラクターというのも魅力だった。
付き合って3年くらい経った頃私の妊娠がわかり、とりあえず結婚したが、
娘が生まれてからは「上の子(先妻の子)達には申し訳ないけど、
年取ってからのせいか、こいつが一番かわいい」と言いながら、離乳食を手作りする父親だった。
しかし、どう考えてもおかしい部分があった。
空白の時間が多すぎる、家に帰ってこない日も多かった。
そんな矢先、同居していた私の実母と夫が喧嘩をし、夫は家に出入り禁止になってしまった。
これでもう終わったな…と思ったけど、母が留守の間にコソッと来て、
ごはんだけ作って帰って行くようになった。
でも、どこに帰るのかを教えてもらえない。
これって絶対何かあるよな…と思い、娘が2歳半の頃思い切って後をつけてみた。
あっさり夫が借りているマンションを見つけた。
それからしばらく仕事に行く前、娘を連れてマンションの前で張り込みをした。
数日目に部屋から出てくる元旦那と女性を見た。
娘を抱いた私がマンションの階段から10m位のところにいたのに、気付かずに出かけて行った。
その日の夕方、再びマンションを訪れた。
風通しのために玄関のドアを開けてあったので、キッチンにいた夫はすぐに私に気付いた。
驚いたようだったが、「ちょっと何か食べに行こうか」と食事に行った。
どういうことかを聞いたら、その女性(Aさん)とは私と知り合う5年前からの付き合いだとのこと。
Aは私より10歳上で、バツイチで娘さんもいて、借金もある。
一緒に暮らしていた時期もあり、一度は別れたが、
私の母に家を追い出され住むところもなくなったので、Aさんを頼ったということだった。
「Aとは別れるから、少し時間が欲しい」と言われ、とりあえずそれを信じることにした。
期限は自分の中で3ヶ月後の年末と決めていた。
実母の件があるからもう同居は無理だから、別居ということで家を探し、まず私が引越した。
3ヶ月後夫もマンションっを引き払って引越ししてきた。
滞納分の家賃3ヶ月の請求書を渡されたけど。
その翌年、インストラクターをしている仕事の関係で、私と2人で知人宅に泊まっていた。
田舎だったので、1階だけど窓を開けっぱなして網戸にして寝ていた。
翌朝ドアをドンドンドンドンと叩く音で目が覚めた。
「なんで女と寝てるの!」とAがドアの外で叫んでいた。
Aが喚き散らしていたので、とにかくドアを開けたら中に入ってきて、
「どういうこと!?説明してよ!」というAに対して夫は何やら説明していたが、内容は覚えていない。
そしてAは私にも説明をしろと言うので、とっさに「私の口からは言えません」と言ったら、
火に油を注いだようで、Aは夫を自分の車のところへ連れて行き、口論になっていた。
すると夫が戻ってきて、「Aが直接お前と話をしたいと言っている。
本当のこと(私と夫が結婚していることや子供がいることは絶対言うなよ」と引っ張って行かれた。
Aが「乗って!」と言ったが、怖くて乗れなかった。
結局私は夫に車に押し込まれて走り出すA。
猛スピードでしばらく走って、どこかの空き地みたいなところに止まった。
この時点で内心「コロされるかもしれない…」と思った。
ちなみにAは頭に血が上ったら何をするかわからない人だと夫から聞かされていた。
なので、結局本当のことは言えず、自分でも訳の分からない言い訳をして、
なんとかAは納得した。
ようやく知人宅に戻って解放されたが、本当のことが言えない自分が情けなかった。
その後Aは帰って行ったが、なんでこんな理不尽な目に遭うのかと悔しかった。
でも、Aに負けたくないという思いもあった。
それからしばらくは普通に生活をしていたけれど、まただんだんと不審な行動がちらほら出てきた。
聞いても絶対ホントの事は言わないので、いつも私が折れていた。
私の中で決定的になったのは義母がなくなった時でした。
夫の母がなくなったというのに、家にも帰ってないし、携帯の電源が入っていない。
兄弟や親戚が集まってきてるのに連絡も取れず、情けなかった。
Aの携帯や家の電話番号は知っていた(夫の携帯を勝手に見た)が、
自分でかける勇気もなく、義兄弟にも言えなかった。
またもしかして…と思い、義母の納骨が終わってから行動を開始。
案の定またマンションを借りていた。
子供も翌年小学校入学だし、今度は本当に離婚するつもりで、事前に弁護士に相談もしておいた。
決行当日、ドアポストをそっと開けてAの携帯を鳴らして、
Aがいるのを確認してからインターホンを押した。
何度も押し続けたらやっと夫が「はい」と出た。
「私…」と言ったら無言で、しばらくしてドアが開いた。
少し奥でAが「入っておいでよ」と言った。
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