20代になったばかりの頃、当時とにかく鬱陶しくて仕方ない女Aが身近に居た。
二年間だけ勤務先が同じだっただけ。
しかも部署は違うのでたまにしか顔を会わせない。
Aは私のやることなすことを詮索しては嘲り、周囲に言いふらし、
私を笑い者にした。
「最近聞いてる音楽は何?」
と聞かれて、当時あまり有名じゃないバンドの名前を言ったら、
「何それ?え?だれ?そんな売れてないのに意味ある?
あんた、ホントなってないわー」
「あんたが作る料理ってどんなの?」
と聞かれて、料理下手な私は、
「チーズと、蒸して塩コショウして潰したジャガイモと、
刻みパセリ混ぜて作るくらいしか出来ない」
って答えたら、
「大丈夫かよ、ビンボー人!wwwあんた生きてる?wwwねえ、生きてる?www」
一事が万事、この調子。
聞かれたことに答えただけなのに、それを貶してくるAにほとほとウンザリしていた。
いや料理が下手でビンボー臭いなのは認めるが。
いったん切ります。
続きです。
携帯電話も無い、電話は家電話しか無かった時代。
Aはたまにうちに電話してきては、いつも私を小馬鹿にしてた。
今みたいに個人情報保護の概念もなく、会社の連絡網で
簡単にお互いの電話番号が分かる時代だった。
だからって嬉しくないし不快なのは事実だ。
そして私が思い付いたのが、Aからの電話に、ラジカセを使うこと。
ラジカセという、いまの若い子たちが知らない家電品が流行ってた時代。
説明が分かりにくかったらすみません。
ラジカセにカセットテープをセット。
録音ボタンと再生ボタンを同時に押して(これをやらないと録音出来ない)、
マイク部分に向かって、
「うん、うん、へえ、うん、へえ、うん、え、ウソ!へえ!うん、へえ、うん、」
と延々と繰り返した。
数日も経たないうちに、Aから電話がかかってきて、
いつものように私をバカにし始めたA。
せっかくの休日なのに電話してきてこれかよ…ってウンザリした。
そして電話のそばの押し入れに置いといたラジカセを取り出し、再生ボタンON!
ラジカセと受話器を近づけて床の上に置いた。
テープ音声「うん、うん、うん、へえ、うん」
受話器からはAの声。
しばらくラジカセと電話の受話器を放置。
冷蔵庫からアイス菓子を出して食べてた。
3分くらい経ってから、しゃがんで床の上の受話器に耳を近づけたら、Aは沈黙してたw
すぐに受話器を手にとって「失礼しまぁす!」だけ言って電話を切った。
それからAから電話がかかって来ることはなかった。
会社で会っても目を合わせなかった。
別の部署のパートおばちゃんに
「あんたAさんの電話にカセット使ってんの?」ってきかれたから
「はい、Aさんの電話は腹立たしいです」って答えたww
平気な顔してる私にムカついたのか、毎日すれ違い様にAから聞こえよがしに
「うっとうしい」「くさい」って言われたけど、気にしない気にしないwww
それから3年くらいでその会社をAが辞めて、その翌年に私も辞めた。
Aがいまどこで何をしてるか、全然知らない。
使ったカセットテープは30分、片面15分だけ自分の声を録音したんだけど、
録音媒体通して聞いた自分の声に幻滅した。
「うん、うん、へえ、うん」でも息切れして、
ラジオドラマやれる俳優ってすごいな、と思った。
おばちゃんの昭和思い出語りでした、長文失礼。
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