眠れないので俺の切なくいたたまれなかった修羅場をひっそりと。
先に俺の名前を仮に「田中太郎」とでもしておく。セリフの細かい部分は補完済みってことで。
俺が都会で就職し一人暮らししていたとき、父親から「離婚した」と連絡があった。
詳細は知らんが母親の浮気とのこと。嫌だとごねる年齢でもないし、親権も養育費も関係ないし、
ただ戸籍から母親が抜けただけのこと。ただ「いい歳して何やってんだか」とは思った。
それ以来たまの帰省は父親家、母親家に交互にすることになる。
更に月日が流れたある日母親から「じいちゃんがボケた」と連絡があった。
慌てて帰郷しようとする俺を母親は押しとどめた。すぐタヒぬわけではないんだから急いでくる必要は無い。
ただ次の連休はこちらに来て欲しいと。で、次の盆休み俺は母親と同居しているじいちゃん家に行った。
玄関でばあちゃんと母親との挨拶もそこそこにじいちゃんの部屋に向かい扉を開ける。
「おう、田中君か。よく来てくれたな。まぁそこに座れや」
俺はじいちゃんから「タロ坊」後に「太郎」と呼ばれていた。恐らくじいちゃんの言った「田中君」は
俺の父親、つまりじいちゃんの娘の旦那のことであろう。記憶が40年程巻き戻ってるようす。
実際俺は父親によく似ている。歳を追うごとに増々似てきているようだ。区別出来なくても無理は無い。
余談だが、じいちゃんと父親は同じ会社で働いていた。母親はじいちゃんの縁故採用の腰掛けOLだった。
両親は会社で出会って結婚した。じいちゃんがどう関わっていたのかは不明、昭和30年代の話だ。
話を戻す。おれはじいちゃんに「あなたは俺のじいちゃんだよ。俺は婿ではないよ。その子供だよ」と
説明するも聞き流され、あくまで「田中君」として話しかけられるので諦めて娘の旦那として相手する。
「最近仕事の方はどうだ?」→「ぼちぼちやってます(何やってたかすらしらねー)」
「◯○さん(上司か?)は最近何やってるのかね」→「さあちょっとわかりませんね(誰だよそれ)」
仕事話は楽しいようだが、仕事方面の話題では会話にならないのでなんとか話題を変えようと誘導する。
「最近体調はどうですか?」「最近楽しい事何かやってますか?」「庭の梅は今年もきれいに咲きましたか?」
等等。家庭方面の話題に誘導成功。がしかし、さらに思いもよらぬ方向へ話が展開する。
「俺の娘はいい女だと思わんか。行儀作法から家事まで厳しくしつけてある。妻として母親として
立派に田中君の伴侶として田中家を支えて行けるだろう。だから田中君も娘を大切にしてやってくれ。
浮気や博打で娘を泣かすようなことのないようにな。よろしくたのむよ」と俺の手を取って頼まれた。
「いやいや、あなたの娘は30年後浮気して離婚されるんですよ」なんて言える訳も無くただ曖昧に頷くのみ。
ばあちゃんと母親は目を泳がせっぱなし。このままでは母親と手をとりあって誓いのキスとか
させられそうな雰囲気だったがばあちゃんからのレフェリーストップで面会終了、部屋を出る。
帰るとき「おじいちゃん、体に気をつけて、元気でな。また来るから」と挨拶した。
通じたかどうかはわからない。
その後寝たきりになり一度見舞いに行ったが、折り悪く何かで集中治療室に入ったとかで面会叶わず、その後会えないままじいちゃんは逝った。
母親の離婚騒ぎの時はボケてなかったはずなのでそれなりに修羅場の記憶はあったはずだが、どこまで記憶が退行したかはわからないものの、そんな事忘れて穏やかな未来を信じていた頃に戻って穏やかに逝けたのはよかったなと思う。
でも、俺の「孫」としての思い出がすっぱり無くなっていたかと思うとやっぱりちょっと寂しい。
書いてたらどこが修羅場じゃ、みたいになってしまったが、せっかく書いたので投下する。
母親の結婚相手にさせられたのが修羅場ってことでひとつご勘弁を。
>>822
似たような状況だな
家の両親は離婚してなかったけど仲が悪くて別居つかお袋が実家に帰ってた
ボケちゃって俺を親父と間違えて娘を頼むと頭を下げる祖父を見て
両親ともばつが悪そうにしょんぼりしてたw
俺もきれいに忘れられちゃったけど
両親の別居で祖父は心を痛めてたから
神様か仏様かご先祖様か知らんけど
嫌なことはすっぱり忘れてしまって
幸せな記憶だけ持ってあの世に来いって
手配してくれたんだと思うことにしたよw
>>822
きもい。
でもボケた人に何言っても駄目だから放置するしかないよね
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