数年前の小話。
記念日で食事する約束だったから残業でちと遅くなった彼女を
会社まで迎えに行った。
会社前のコインパーキングに駐めて彼女を待っていると
白髪のおばあちゃんが俺をじろじろと眺めてくる。
しかもじろじろ見ながら俺の車のまわりを何周もする。
なんだ?と思っていると車の窓をコンコンされた。
夜で知らない老婆というのがすごく怖かったが、窓をウィーンと開けて
「なんですか?」
と聞くと
老婆「あんた誰?」と。
「…この会社の社員の知人で…」
言いかけたところで
「嘘つきー!あんたなんか知らなーい!!キ千ガイだキ千ガイだ、キ千ガイがいるう、ドロボーー!!」
と絶叫された。
唖然とする俺。ぎゃーぎゃー泣きながらわめく老婆。
そのうちアスファルトの上で匍匐前進を始めたながらわめき始めたので
これはヤバイ人だと思い俺はちょっと遠くの駐車場まで移動した。
駐車場から彼女に「こういうわけでちょっと遠いとこにいるけどゴメン」とメールし待つ。
気を取り直し、車内で先週のヤンマガなど読んでいると、
また窓をコンコンと叩く音がする。
いや今回はコンコンなんてかわいいもんじゃねえ。
ガコンガコンいわされてる。
外を見るとまたあの老婆。
俺は怪鳥のような声で絶叫した。
白髪を振り乱した老婆が半狂乱で俺の車の窓をナグっていた。
しまいにはボンネットによじのぼってフロントガラスをブロックでナグりつけはじめた。
老婆「キ千ガイキ千ガイキ千ガイいなくなれタヒねええええええ!!!」
俺「いやああ!!!お願いやめてええええ!!!」
彼女ほか数人が会社から走り出てきて老婆をどかしてくれるまで
俺は乙女のように悲鳴をあげつづけることしかできなかった。
あとから聞いた話だが
老婆は彼女んとこの社長の元・奥さんだった。
金遣いが荒い上に浮気して数年前に離婚したらしい。
なぜか本人は自分が慰謝料もらえると思ってたそうだが
当然有責でそんなもんもらえるはずもなく、無一文で追い出され
浮気相手にも捨てられて完全におかしくなってしまったそうな。
社長夫人だった当時も勘違いさんで
「私が会社の実権を握ってるのよ」
とわがもの顔で練り歩き、社員のプライベートまで干渉して全部把握してないと
気がすまないという困った女だったそうで
俺を見て
「知らない男!社員の彼氏?…うちの社にワタクシの把握してないことがある!!」
とご立腹になってしまったようだ。
その後社長からじきじきに謝罪と菓子折りをいただき、一部破損した車についても
弁償していただくことで話はついた。
それはいいんだけど、一番びっくりしたのはあの老婆が実はまだ40才未満だったこと。
どう見ても70~80才くらいだったんだけど…。
社長さん&彼女が言うには離婚後一気に老けたらしい。
何もかもが驚きだった一件でした。
ある意味で修羅場ではあるんだが・・・
カップル自体は平和だな
なんか社長が一番たいへんそうだな。
老婆の正体は彼岸島の吸血鬼じゃなかったんか
>>101の、
>俺は乙女のように悲鳴をあげつづけることしかできなかった。
ここで笑ってしまった・・・ごめんよw
常軌を逸したキ千ガイに襲われたら悲鳴ぐらい出る罠
キ千ガイに襲われて悲鳴が出せるだけマシじゃないか
驚きすぎて声も出せない人も多いと思うよ
声が出せれば助けも呼べるし誰か周りの人も気が付くだろうし
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