私の実家は某球場の近くにあったのだが、
うちの両親はガーデニングとか家庭菜園に全く興味がなく
ただ広いだけの庭を試合のある日は
軒先駐車場として貸して小遣い稼ぎをしていた。
周辺にはそういう古いお宅が多く、球場も出来たばかりで
周辺の駐車場は足りないぐらいだったから需要もあり、
肩を並べて1試合2000円から2500円ぐらいだったと思う。
うちの庭には3台止められたので
年間にすると結構な収入だが、トラブルも多かった。
試合のある日には駐車料金を記した看板を出して、
誘導しながら口頭でも料金を伝えていた。
にも拘わらず、車を止めてから
「あこぎな商売しやがって」「ぼったくりだろ」などなど脅してきて
そのまま車を置いて球場へ向かうガラの悪い人も多くて、
そういうのを見て来たから一人娘の私が実家を相続し、
住むようになったとしても軒先駐車場だけはやるまいと思っていた。
夫にもそれは折に触れ伝えていたし、
あの家を相続しても住むつもりはないと言っておいたのだが
実際に相続すると夫は手の平を返すようにその家に住みたがった。
夫はプロ野球ファンだったから、
お散歩感覚で球場に行ける距離は魅力だったんだろうと思う。
夫の通勤の便もそれでかなり楽になるという事でも夫に説得されて私が折れ、
まだ十分住めるのだからと実家で暮らすことになった。
そして引っ越して2年目、
あれだけやらないと言っていた軒先駐車場を夫がやりたがった。
不況で残業が減り、定時で帰ってくることが多くなったので
自分でやるからと説得されそれでも嫌がったが、
自分で責任もってやるからとしつこく説得され、また折れた。
夫には私が何故そんなに嫌がるのか理解不能だったようだ。
結果、その年のシーズンが終わらないうちに夫の軒先駐車場は閉店した。
ドナられようがどうしようが柳に風で受け流せた父と違って、
物事を理詰めに考え、相手を理詰めで説得する癖のある夫は
タチの悪い相手と口論の末、ナグられた。
もちろんK察にも届けたが、相手の男は飄々としたもんだった。
「こういう事が何度もあったから私はやらない、
嫌だって言い続けてたのに」と言ったら
まぁ言ったタイミングが悪かったんだろうけど
「うるせぇ!」ってビンタされた。
以来、夫は私の実家のあるその町を下品な下町だの、
だからお前には品がないだの私の育ちに対する口撃をするようになり、
そこから徐々に夫婦関係がおかしくなった。
(見栄を張るわけでもなく、その町は下町でもなんでもないです)
まだ小学生だった子供たちは私の味方になってくれた。
「お母さんが嫌だって言ってることをいつも無視してきたくせに」と。
そしてお決まりの浮気。
私にとってそれは願ったり叶ったりだった。
慰謝料請求しない代わりに出て行ってくれと三行半。
家は私の名義だし、私には親から相続した別の貸家の収入等もあった。
十分子供を育てていける。
浮気する父親に子供たちが懐くはずもなく、私についてくると言った。
夫は冷静になればなるほど自分が馬鹿なことをしたと悟ったようで
同時に離婚しても自分にはデメリットしかないと気付いたらしく抵抗しまくり。
相手の女性もバレた途端にさっさと逃○したし。
離婚の話し合いは長引き、一年近くかかった。
思い出してもあの一年は修羅場だった。
離婚後、近隣にはコインパーキングが次々出来た。
どこのお宅も私たちの代になって家を新しく新築し、又は売って移転し、
時代の流れもあってか、そういう小遣い稼ぎをするお宅は殆ど無くなった。
パーキング業ってトラブルなさそうと思ってたけどあるんだな
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