学生時代、A男に苛められていた。
体育の授業では先生の見ていない所で
「あいつに石あてたら100円w」
といって小石をぶつけてくるようなやつだった。
鞄にキーホルダーをつけてこようもんなら『生意気だ』とむしり取られた。
授業でA男の前の席になったら最悪で、足癖の悪いA男は授業中ずっと前の席の椅子を蹴り続けて授業に集中なんてできなかった。
まあ社会人になったら記憶も薄れてきたけど、最近たまたまSNSでそいつのアカウントを見つけてしまった。
何せトップがそいつの顔写真。
気分悪いことに俺と同じ、某投稿サイトでアニメ化もされた小説家のフォロワーだった。
A男の呟きたどっていくと、最近は暇つぶしのそこの投稿サイトの小説を読みまくってるらしい。
読み専ではあったが、この件で『やるなら今だ』と思って一作話を書いて投稿した。
ゆるパクでテンプレな話を星クレクレして、とにかくランキング入りを狙った。
要約すると
『両片思いだった幼馴染♀を性悪イケメンに寝取られた主人公♂がもっとランク高い女子に好かれて幼馴染ざまぁ』
という話。
正直書いてて恥ずかしさでタヒにたくなった。
もう予想ついたと思うけど、性悪イケメンのモデルはA男。
名前も顔も違うけど、している行動はまんま俺がされたやつ。
真っ先に来たコメントは
「喪男の妄想って感じですね」
だった。
覚悟してたけど批判コメントって思ってた以上に心抉る。
けど批判コメントと同じくらい応援コメントも来た。
「この性悪イケメン腹立つわーこんなことするなんて本当に日本人かよ!ざまあされてスッキリした」
とか。
そしてA男の呟きをチェックしてたんだが、ある時期から病んできた。
俺が妄想小説投稿したのと同時期から。
「若気の至りって誰にでもあるよな」
「謝らないより謝る人間のほうがマシだよな?」
「電話繋がらないなんで?」
「俺だって良いことも沢山してきたし」
俺の実家では認知症が始まった祖母がいるため、電話はかかってきても出ない。
一時期オレオレ詐欺の電話が酷かったから。
大事な知り合いならスマホの連絡先知ってるしな。
母親に聞いたら確かに最近電話が多くかかってくるらしかったが、出ないから結局分からん。
A男の呟きが “明るい陽キャ” から “愚痴ばっかり吐いてる陰キャ” に染まったところで気は済んだし、ついでに小説も消した。
ひょっとしたら俺の小説なんて全然関係ないかもしれないが、嫌いなA男が病んでいくのはメシウマだった。
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