流れを無視して投下します。
今では立派な笑い話です。
3年程前、ドイツのチュービンゲンに留学していた頃の話です。
当時、日本には学生の身分ながらも婚約している恋人がいて、
1年間の留学が終わった暁には、式を挙げることが決まっていました。
叩かれることを承知で書きますが、僕はすこぶる女癖が悪くて、
長期休暇を除いてほとんど彼女に遭えない禁欲状態に耐えられるはずもなく、
渡独後1ヶ月で現地妻ならぬ現地彼女を作ってしまいました。
関係ないですが、ドイツの女性は総じて顔が筋張っていて
お世辞にも綺麗とはいえず、
留学生どうしの集まりの時に知り合ったロシア人の女の子(以下A)と
付き合うことになりました。
Aは身長165cmくらいの線の細い、黒髪であることを除けば典型的なスラブ美人で、
性格は少し思い込みが激しいところがありますが、基本的に優しく、気が利いて、
僕としては申し分のない女性でした。
はじめ、Aは寮でひとり暮らしだったのですが、
僕の借家が広すぎて持て余していた為、自然とに同棲するようになりました。
同棲が始まってしばらくたったある日、Aが深刻そうな表情で、
「今まで黙っていたことがあるの。」
と言ってきました。
僕がなんだろうと思って聞き返すと、彼女は本当に申し訳なさそうな顔をして
「実は・・・本国ロシアに彼氏がいるの。今まで黙っていてごめんなさい、許して。」
といって泣き出しました。
僕としては今までは、Aに対して後ろめたい気持ちがあったのですが、
(本当の彼女にももちろんありますが)
これをきいて正直気持ちが楽になり、自分にも日本に婚約者が
いることを彼女に告げました。
するとAはすごくビックリしたようで、息を飲んで黙り込んでしまったので、
僕は落ち着いた声で、
「僕たちの関係をドイツ留学1年だけのものにして、それが終われば
お互い国へ帰って本当の恋人と付き合おう、
だからそれまではふたりでドイツでの生活を楽しもう」と持ちかけました。。
Aはしばらく悩んだあと
「本国の彼も好きだけど、あなたのことも大好きなの」といい、
僕はそれを彼女の了承と受け取って、その日はそのまま同じベットで寝ました。
後日詳しくきいたところによると、
Aの本彼は独系ロシア人で、彼女がドイツ留学を決めたのも、
その彼氏の影響によるものだったみたいです。
事件が起きたのは、僕がすっかりドイツでの生活に慣れた3月も終わりの頃のこと。
ある日彼女が血相を変えて、「どうしよう今から彼がくるの」と
切羽詰った様子で飛び込んできました。
どうやら彼氏がロシアから遊びにくるらしく、しかも彼なりの
サプライズのつもりか、Aにそのことを知らせたのは、その彼氏(以下B)が
こっちの空港に着いてからだったのです。
そしてなんとBは、あと数時間で彼女が前に手紙で住所を書いていた
この借家にやってくるとのこと。(なんでそんなこと書くんだと本気で思った。)
僕はとりあえず僕の荷物を一箇所に集めて隠そうとしたのですが、
なにしろ量が多すぎてどうすることもできず、かといって当然Bを家に
あげるわけにはいかず、仕方がないので、さしあたって
(a)Bとはホテルで会って、そのままそこに滞在してもらう
(b)Aが引越したことにして、彼女の女友達の家でルームシェアをしているとしてBに紹介させる、
の二通りの解決方法を考えました。
この場合、後者のほうが絶対にいいことは分かっていたのですが、なにしろ
急なことだったのでどうすることもできず、
結局(a)プランでいくことになりました。
すいません番号つけます
Bの滞在期間は一週間。その間はAもBと一緒に安ホテルに泊まります。
しかし、僕としては、Bがいつ「Aの家にいきたい」と言い出すか不安なので、
2人が安ホテルに泊まっている間に、僕がAの友達に根回しをして、万が一Bがそう言い出しても
(やかに(b)プランに移れるよう手配をし、Aにもきちんとメールでその旨を伝えました。
僕としては、これでもう大丈夫だなと思い、安心して一週間が終わるのを待っていたのですが、
6日目の夕方、信じられないことに、AがBをうちに連れて帰ってきました。
(げ、メールがバレたのか。)と一瞬硬直しましたが、Bは僕の方を見て、
ものすごいロシア語訛りのドイツ語で怪訝そうに
「なんで僕をここにつれてきたの?あのひとは誰?」とAに聞いているだけです。。
(はあああ???)
頭の中はもうパニック状態。察するにどうやらAが自主的にここまで引っ張ってきた模様。
俺は必タヒに、なんとかこの状況を打開するうまい方法を考えていたのですが、
なにしろAが次の瞬間に
「あの人は私が今までドイツで同棲していたルームメイトよ。」
と言ったため、全てがジ・エンド。
状況を理解したB(推定190cm85kgサンボ経験者)は怒りで青ざめていました。
170cm 格闘技はおろかまともな喧嘩の経験すら無いの僕としては、
肉弾戦に突入されたらひとたまりもないので、ひとまず機先を制して、
「あー、どうぞそちらへ、座ってください。今コーヒー入れてきますよ」
といって台所へ立ちました。
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