私の腕には生まれつき色の濃い大き目のアザがあった
範囲が広いから目立つっちゃ目立つが、別に珍しいものでもないから女性としてはやだなーと思うことはあっても誰も何も言わなかった
だけど高校のときに地方から転校してきたAちゃんだけは別だった
私の腕のアザを見るなり「(私)ちゃんのお父さんとお母さんは兄妹だ」と変なことを言い出した
Aちゃんの出身地ではアザのある女性はその親が兄妹(姉弟)で近親相○して生まれたという言い伝えがあるらしい
高校卒業後、私は地元で美容医療系の病院に事務として就職した
そこでレーザー治療のモニターとしてアザを消す治療を受けた
完全には消えなかったけど、少し離れて見ればわからない程度まで薄くすることができた
同様の症状の患者さんにビフォーの写真と現在の腕を見せると「こんなに綺麗になるんですね」と驚かれるくらいだから、かなりうまくいったほうだと思う
30歳のときに同窓会があり、30歳記念ってことでおしゃれなレストランを貸切にしてたので、腕の出るドレスを着ていった
Aちゃんのことは避けていたけど、こちらを見つけて話しかけてきた
「腕のアザどうしたの?」とストレートに聞かれたので「以前勤めてた病院でレーザー治療を受けたんだよ」と答えた
「そんなに綺麗になるもんなんだ」と複雑そうな顔をしてた
同窓会後、Aちゃんがそっと近づいてきて「相談したいことがあるからメールアドレスを教えて」と深刻そうな様子で言ってきたので、雰囲気に呑まれて教えた
Aちゃんからきたメールには、このような感じのことが書いてあった
「娘の背中に大きなアザがあり、祖母が激怒してる。兄が廃嫡(←原文ママ)されてしまう。うちの娘のアザも消してほしい。専業主婦だし夫も冷たいのでお金はそんなに出せない。気持ちわかってくれるよね?高校のときの友情を思い出してほしい」
「高校のとき、私はAちゃんにひどいことを言われました。謝ってもらったことはなかったよね。今も自分のことばっかりで全然悪いと思ってない。何を私に頼んでいるかわからないけど、高校のときの気持ちをよく考えて全部お断りします。私は力になれないけど、娘さんのことをよく考えて行動してください。」
こんなことを返信してメールを拒否した
どうなるかと思ってたけど、当時の同窓会の幹事経由で手紙が来た
私が勤務してた病院で保険適用ができる治療が受けられることになり、その後1年かけてきれいな皮膚になった
親の因果が子に報い、というのを身をもって知った
あのときは本当にごめんなさい
というようなことが書いてあった
Aちゃんには複雑な気持ちがあるので付き合いをするつもりはないけど、娘さんにはよい結果になってよかったと思う
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