何か日曜なのにムダに早起きしてしまったので、自分の勤め先での話をさせて下さい。
勤め先の会社は、従業員自体が多いせいか、古い体質の業界なせいか、セク八ラ、パワ八ラ問題で辞めていく社員が絶えなく、会社は「セク八ラ・パワ八ラ調査委員会」という社内探偵みたいな組織を新設した。
何故か会計畑の自分もそこに入れられたのだが、ある日営業部の女性社員(A子とする)から相談が来た。
「出張先で先輩社員(B男とする)にシ酉に酔わされ、ホテルの部屋に無理やり押し入られ、拒んでるのに関係を持たされた」
ということだった。
A子は社内でも美人と評判の子で、綺麗な目を真っ赤にして泣きながら話してくれた。
裏付けは簡単だった。
何とB男自身が同僚の男性社員数人に
「出張先でA子酔わせて迫ったら、最初は拒んでたけど結局A子の部屋に入れてくれてさw」
と言いふらしてたから。
上に報告して、B男を呼び出した諮問会(上役参加の裁判)が始まると、B男はしどろもどろに
「あれは冗談で」
とか言い始めたが、
「これが冗談で済むか!!」
と社長に恫喝されて黙った。
B男は以前にも、出張費の二重請求の前/科があり(これは 「勘違いで」 と言った)、併せて報告した結果めでたくクビとなった。
A子には刑事事件として立件したらと役員から進言もあったが、もう忘れたいのでとA子は断り、この件は終わりとなった。
しばらくした後、本来の業務で残業をしていると、A子が来て
「結婚して海外に行くことになったので、退社することになりまして。
本当にお世話になりました」
と挨拶された。
有名店の菓子折りを差し出され、自分は喜んでそれを受け取ると共に、彼女の結婚を喜んで、お幸せにねと言った。
家に帰ってその菓子折りを開けると、包装紙の隙間に綺麗な便箋の手紙が入っていた。
『あの件は嘘でした。
先に嘘を言いふらしたのはB男さんです。
ああ言えば、私が自分の物になるとでも思ったのでしょう。
以前からも、あの日も交際を迫られてましたが、いつも断っていました。
あの制裁は全く後悔していません。
ただ、貴方が私を信じて、我がことのように泣いてくれたことが辛かったです。
本当に申し訳ありません。
幸せになりますが、許して下さい』
確か、そんな内容だった。
手紙はすぐ破ってしまったので、もうない。
お菓子も速攻で全部食べてしまって、ない。
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