軽い昔話で埋めます。
田舎の実家が農家で、中庭に鶏舎があって、家で使う卵を採っていた。
ある日、鶏舎から鶏のバタバタいう羽音と、コケーッ、キーッという悲鳴が聞こえてきた。
なんだなんだと行ってみると、大きなアオダイショウ(蛇)が鶏の一羽に巻きついている。
他の鶏が逃げ惑って大騒ぎしていたのだった。
父や祖父が鍬や鎌を持ってきて、蛇を引きはがそうとしたが、
蛇の巻きつく力ってすごいね、●をつぶして●しても、
まだぎっちり締めててほどくのが大変だった。
2mくらいあったと思う。
巻きつかれた鶏も●んでたから、庭の隅に埋めた。
蛇は憎らしいので、肥やしにでもなれ(本当になるかはともかく)と、畑に埋めた。
話は変わって。
向かいの家に、大刀自(おおとじ)と呼ばれているおばあさんがいた。
大刀自は99歳で、100歳の誕生日が目前だった。
誕生日の当日は、家族や親戚や近所の人も集まって、
盛大なパーティをする予定だった。
町役場からもお祝いが来て、地元テレビ局も
「ご長寿バンザイ」みたいな番組の取材に来ることになっていた。
(995の続き)
だが、誕生日の前日、大刀自は大往生。
町役場とテレビ局は急きょキャンセル、
お祝いに集まった人々はお葬式の準備を始めることに。
うちの母も手伝いに行ったのだが、
そこで向かいの家の奥さんに聞いた話。
向かいの家には、もう長いこと住み着いているアオダイショウがいて、
大刀自が「家の守り神、福の神だからいじめないように」と言うのでそっとしておいた。
しかしここ3日ほど、姿が見えない。
「何か悪いことがないといいけど」と言っていたらお葬式になってしまった。
やっぱり前兆だった、と。
母にはピンときたが、適当に相槌を打って、帰ってきた。
母から話を聞いて、うちの家族も全員顔を見合わせた。
蛇がうちの鶏舎を襲ったのは、3日前のこと。
家族会議で、黙っていることに決まった。
大刀自のお葬式にはうちも参列して、ご冥福をお祈りしてきた。
守り神様も出張なんぞしないでくれれば
長生きされてだろうに……
大刀自様は寿命でしょうて
それも大往生
お葬式自体は100(数え)になったろうしね
アオダイショウ何故そのタイミングだったんだ…
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