小学校4年生くらいの時の話。
近所のちょっと大き目なスーパーマーケットへ母と親父と買い物に来ていた。
二人は鮮魚コーナーで晩に食べる刺身を物色しに、自分は食玩が欲しくておもちゃ・お菓子コーナーへ直行。
到着して食玩を吟味していると、後ろを誰がか通って買い物カゴがぶつかってきた。
(いてぇーなー)
と思いながら見ると、ワカメみたいな髪にメガネのオタクっぽい人が食玩の前でウロウロしてた。
無視してほしい物を2つ選び、両親のいる鮮魚コーナーの方に向かおうとしたけど、そこにはオタクの兄ちゃんが座ってる…。
(邪魔やなこの人…)
と思いながらも、最短距離を行くことしか頭にないんで
「通してください」
と断って後ろを通って鮮魚コーナー近くの通路へ出た。
両親の姿がなかったのでキョロキョロと周りを見渡していると、急に後ろから
「おい!」
と声をかけられた。
振り向いた瞬間、顔の左側面・左耳・首の左側あたりに強烈なチョップを食らって、その場にひっくり返った。
何が何だかわからず転んだまま見上げると、そこには食玩コーナーで後ろを通ったワカメヘアーのオタクが顔を真っ赤にしてフーフー言いながら立ってた。
呆気に取られて見上げていると、
なおも何かしようと近づいてくるオタクの後ろに、拳を振りかぶって飛びかかってくる親父が見えた。
瞬時に親父に後頭部をナ.グ.りつけられて、オレのすぐ前に膝から崩れ落ちるオタク。
それをなおも執拗にナ.グ.りつけ、襟首を引きずってオレから引き離そうとする親父。
オタクよりも親父の形相と勢いにびっくりして半泣きになっていると、母が飛び込んできて引き離された。
その後、店員も事の次第を見ていたようですぐに鮮魚コーナーの人が氷の入った袋を渡してくれ、警備員が飛んできて、ボコボコになったオタクの胸倉をつかんで引きずり起こしている親父を止めに入ってた。
その場で親父がオタクに
「どうしてうちの息子をナ.グ.ったんだ」
と詰問すると
「『どけぇ!』って言われたんで…」
と言ってた。
母親はオレを見て
「本当?」
と聞くので
「通路に座ってたから『通してください』って後ろを通った」
と言うと
「通路に座るな!」
と親父が更にオタクをナ.グ.りつけ始めた。
その光景を見ていて、
(この人本当にオタクを○してしまうんじゃ…!)
と慌てふためいたのを覚えている。
後の事はわからないけど、とりあえずスーパーの店長さんがK察に通報してくれたみたいでオタクと親父は連行されていった。
そりゃあそうだろうなと今では思う、だってオレは顔の左側と首筋を一発ナ.グ.られただけだけど、相手のオタクは親父に十数発ナ.グ.られてボロボロだったし…。
けどこの時は
(親父がケーム所に入れられるんじゃないか)
と不安で滅茶苦茶泣いた。
まぁ夕飯の時には普通に居たんだけど。
この話を当時高校生だった兄に話すと大爆笑してた。
何もそんなに笑わなくても、と言うくらい爆笑してた。
親父は苦々しい顔してた。
後日、そのオタクが近所の警備会社で働いていたことがわかって、そこの社長が謝りに来てた。
社長は仕事の関係で親父とは知り合いらしくて、生まれて初めて生で土下座を見た。
親父も
「社員を一人潰してしまって申し訳ない」
とか謝ってたけど
「あいつは自業自得」
と社長が切り捨ててた。
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