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祖父にはいいなずけが居たが、それを裏切る形で祖母と一緒になった

シタ男
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721: 名無しさん@おーぷん 投稿日:2014/09/23(火) 08:38:20 ID:h1hl4cvCm

そのあと、義祖父も来て世話役の家で宴会になったんだそうだ。
世話役は怒らない祖父の気骨をえらく気に入って、
働き口がなければ俺に任せろと言ってくれたらしいけど、
祖父はもう一度鉄道技師の働き口を探してみるからって断ったんだって。
長男は父親(祖父)と義祖父が意気投合してシ酉酌み交わしてるのをみて
子供ながらに心底ホッとしたと言ってた。

でも結局祖父はその夜、書置きだけ残して二度と祖母の前に姿を現さなかった。
自分が居ると要らぬ気を使わせてしまうから自分は故郷に帰ることにする
しかし絶対に私の事を気に病んでくれるな、君の選択は正しい
義祖父さん、くれぐれも元妻と子供をよろしく頼みます
そう書き記されていたんだそうだ。

祖母はその後、義祖父との間に二人の子をもうけた。
つまり上の二人が祖父の子、下三人が義祖父の子で計五人兄弟になった。

それから暫くして同じように東京で嫁いでいた祖母の
お姉さんが尋ねてきたんだって。
上野の高架下で、祖父男さんとよく似た浮浪者がいたんで
声かけたら逃げてしまったんだそうだ。
多分、顔に裂傷を負っていたから間違いないだろうという事だった。

祖母は姉に向かって、何で黙ってお金を渡してくれなかったのと責めたそうだ。
あの人にだってプライドがあるんだから親族にそんな姿見られたら
逃げるに決まってるって。
でも言い終わった後、「しょうがない」って言ってそれっきりその話は
口に出さなかったらしい。
片目片耳が不自由でしかも顔にケロイドじゃ働き口が無かったん
だろうなって親父が言ってた。

722: 名無しさん@おーぷん 投稿日:2014/09/23(火) 08:39:28 ID:h1hl4cvCm

それから数年後の冬に大阪のK察から異体の持ち物からあなた(祖母)の
名前が入った写真が見つかったんだけど心当たりがありませんか?と
連絡があったんだって。
ちょうど署員の知人で写真に映った場所の周辺に住んでる人が
居たんでわざわざ探してくれたらしい。
祖母は長男と一緒に汽車に乗って大阪まで行って、異体を確認したそうだ。

祖父のタヒ因は窒息タヒ。
真冬の寒さと衰弱していたのとで食べ物がうまく喉を通らず、
そのまま窒息してしまったんだろうという事だった。
長男は翌日の汽車で帰って来たが祖母はそのまま留まり、
異体を焼いてもらって遺骨を親族に渡してから帰ってきたそうだ。
長男は、その時も涙を見せない祖母を見て何て冷酷な人だと思ったらしい。

一方、義祖父はシ酉飲みである事を除けば確かに自分たちを公平に扱ってくれたし、
よく寄席や相撲に連れていってくれたりして血が繋がっていなくても分け隔てなく
平等に可愛がってくれたと二人共言っている。
実を言うと俺自身も生前義祖父に寄席に連れていってもらったり
将棋を指したりした記憶がある。
とても人懐こいひとで人望も厚く、町内会でも顔役としてよく
自治会長を引き受けたりしていたらしい。

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723: 名無しさん@おーぷん 投稿日:2014/09/23(火) 08:40:13 ID:h1hl4cvCm

ただ問題なのは義祖父が息を引き取ってからだった。
義祖父には姉が一人いる。
姉の旦那は戦タヒしてしまった。

子供もいなかったので祖母同様再婚の話がありそうなものだが、
何故だかそういう話はなかったそうだ。
親父の話によると姉は多分不妊症だったんじゃないかって。
だから貰い手がなかったんだろうって言ってる。

それで儀祖父の姉が自分の遺産を下の三人
つまり自分の弟と血の繋がっている三人に少しずつ渡しだしたのね
血の繋がってない長男と俺の親父(次男)には内緒で

それで祖母が激怒して、私が嫁に行くとき公平に扱ってくれる
という約束だったはずと抗議したらしいんだけど、
姉は私の遺産をどうしようが私の勝手だと突っぱねたんだと。
そっから上の二人と下の三人の間がギクシャクしだした。
金っていうのはつくづく魔物だと思うわ。

724: 名無しさん@おーぷん 投稿日:2014/09/23(火) 08:41:21 ID:h1hl4cvCm

義祖父が他界してから暫くして三男夫婦が事業に成功したの。
それで金銭的に余裕があるから「自分達が祖母の面倒みるっ」て
長男と次男に何の相談もなく同居しちゃったもんだから関係は最悪になった。
おかげで長男と次男(俺の親父)は俺達は捨て子みたいなもんだって不貞腐れて、
祖母にまで怒りをぶつける険悪なムードになってしまった。

そっからの空気は俺も鮮明に覚えてる。
わざわざ祖父の本家まで尋ねていって、事情話してまだ辛うじて
健在だった祖父の弟と養子縁組して義祖父の姓抜いたんだから。
俺まで名前変わっちゃって参ったわ。

本家も、だから言わないこっちゃないって元々祖母は変な女だと
思ってたんだと哀れんでくれて、縁組までの経過は実にスムーズだったらしい。
ただ遺骨はこっちで引き取ってないよって言われたんだって。
でも祖母とも険悪になってしまったんで事情を聞けずに月日だけが過ぎていった。

725: 名無しさん@おーぷん 投稿日:2014/09/23(火) 08:42:11 ID:h1hl4cvCm

祖母が老化で足腰が弱くなって寝たきりになりだした頃、三男から長男に、
お袋が最後はそっちで面倒みて貰いたいと言ってるんだけどどうかと連絡が来た。
長男は、一番手がかかる状態になって厄介払いされたんだろうと思ったそうだが、
拒否するのも癪だから引き受けたんだそうだ。
祖母は長男の家に引き取られると、次男(親父)を呼んでくれと頼んだらしい。

ボケる前に言っておきたいと前置きして
まず、公平にするという祖父との約束を果たせなかった事は本当に
申し訳なく思っているということ
下の三人に和解するよう何度も説得を試みたが叶わず
自分の力不足を痛感してるということ

しかし下の三人も自分が産み落とした子だから分け隔てすることが
出来なかったということ
だから足腰が丈夫な内は三男に世話になることにして、最後は二人(親父と長男)
に看取ってもらいたいと思っていたこと

そして四谷のお寺に祖父の墓を立ててあるということ
自分がなくなったら分骨して半分はそこに埋葬してほしいということ
隣に二人の土地も買ってあるから自分で墓石を立てなさいということ
しかし自分と祖父の墓には他の人の骨は入れないで欲しいということ
墓碑にも他の人の名前は絶対に刻まないで欲しいということ

墓石代と墓守代として一千万用意してあるから二人で分けて使いなさいと
いう事を伝えられたそうだ。
実の母親から裏切られたと思っていた長男はそれ聞いて号泣したらしい。

726: ◆Y9U3ssULxo 投稿日:2014/09/23(火) 08:43:03 ID:h1hl4cvCm

それから半年も経たないうちに祖母は静かに息を引き取った。
結局その一千万は下の三人の知るところとなってしまい、没後、弁護士が
たてられて綺麗に五分割されてしまったが。
親父も長男も不思議とその件について怒ってる様子はなかった。

先日、親父と墓参りに行ってきた。
親父は線香をあげながら
「お袋はしょうがないっていうのが口癖だったけど、
ずっと自分にそう言い聞かせながら生きてきたのかもしれないなぁ」
と感慨深げに言っていた。
何かそれを聞いて不覚にも泣けてしまった。

727: 名無しさん@おーぷん 投稿日:2014/09/23(火) 12:35:12 ID:dQ1cvhVR3

厳しい時代の中でも自分を見失わずに
その時その時に出来ることを精一杯やって
状況の中では最善だと思う選択をして生き抜いた
立派なお祖母様だよ。

理不尽だけどどうしようもないことは
「しょうがない」で諦めるしかなかったんだよ。

731: 名無しさん@おーぷん 投稿日:2014/09/23(火) 20:11:43 ID:hdp64Zcty

>>726
>>「お袋はしょうがないっていうのが口癖だったけど、
>>ずっと自分にそう言い聞かせながら生きてきたのかもしれないなぁ」

自分の力ではどうにもならない事を理解するのが理性だそうで。
その理性は教養の土台が無いと培われない事で。

お祖母さまなりに、その時そのときの筋を通そうとした姿勢は、
今は遠い「大和撫子」の生き方だったのでしょうか。

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730: 名無しさん@おーぷん 投稿日:2014/09/23(火) 17:54:32 ID:bIPIcENdz

戦後はその手の話は多かったらしいよ。
戦タヒしたと思ってたらシベリアから帰ってきたとか。
うちは祖母の最初の結婚相手がやっぱり戦後かなりたってから帰ってきたんだって。
赤紙が来てから慌てて結婚したから、夫さんは自分に子供が出来たのも知らな
かったんだけど祖母の場合は、その子を空襲でなくしてしまっていた。

うちの祖母もかなりの美人だったので、すぐ次の縁談が来た。
再婚して何年かして父が生まれてから前夫が帰って来た。
祖母は遠方へ嫁いでいたので、そのまま顔も会わせなかったらしいけどね。
前夫さんは地元でやはり再婚したので、祖母は帰郷をとても嫌がったって。
父が言うには、法事以外で帰郷もしなかったらしい。

ただね…。祖母が危篤で意識が朦朧としている時に、記憶が混乱していろんな時代に
トリップするのよ。子供の頃や娘時代にも飛んでいく。
祖母と前夫さんは幼馴染で、前夫さんは祖母の初恋の人。
出征する前に、頼み込んで結婚してもらった。

でも戦後、弟妹を抱えて食べていけなくて、仕方なく親類に勧められるまま
資産家の祖父に嫁いだ。
前夫さんが「好きだった好きだった」って、泣くんだよね。
祖父は祖母を本当に大切にしていたから、祖父が生きてなくてよかったと思ったよ。
葬儀後、祖母の弟妹から顛末を聞いた時は気の毒だと思ったけど
正直、じいちゃん子だった私は、祖母にとって祖父はただの金づるだったのかとモヤモヤ…。

大叔父がなくなった時に葬儀で祖母の故郷へ行った時に、前夫さんにも会った。
祖母の墓に花でも供えてくれって封筒渡されたけど、祖父と同じ墓だから
出来ないって断った。

その時は感情的に断ったけど、本当にそれでよかったんだろうかと、
今も墓参りに行く度思う。
まあ私と父が、前夫さんのお墓(祖母が昭和20年に建てた)に行ったら、取り壊されていて
なくなった父の異父姉のお墓が前夫さんの新墓に移されていたので南無南無していたら、
前夫さんの家族に、二度と来ないでくれと言われたのでお互い様なんだけどさ。

シタ男
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