たぶん4歳か5歳ぐらいの時だったと思う。
まだ小学校に行ってなかったから。
突然父に「今日からこの人をお母ちゃんって呼びな」って言われた。
母は家にちゃんといるのに、父に急に知らないアパートに連れて行かれて
知らない女の人がニコニコしてて、その女の人の肩に手をまわして
デレデレの父がそう言ったんだ。
今でも覚えてる。私は「なんで?」って言った。
そしたらその女の人の表情がピキッと割れたみたいになった。
父は何かを誤魔化すようにへらへら笑いながら
「ま、急には無理だろうけど、今日からお前のお母ちゃんだ」って。
なんかワケわかんなくて、ただただもうお母ちゃんには会えないのかなって思って
わんわん泣いたことも覚えてる。
親の口からハッキリ説明されたことはないけど、
たぶん父が浮気して、浮気相手と暮らし始めるのに私も連れて行ったんだな。
その日、その時まで、私はお父ちゃんもお母ちゃんも同じように好きだったのに
お父ちゃんは知らない女の人のオットになった。
で、その日からそのアパートで暮らし始めて
翌日から父は普通に出勤していって、昼間は知らない女の人と暮らすことになった。
その人は色んなものを買ってきては私の回りに並べて一緒に遊ぼうとした。
でも私は拒否した。
子供心に、この女に懐いちゃいかんと思った。
この女に懐いたら、二度とお母ちゃんに会えなくなるって思ったんだ。
私なりの抵抗で、ごはんは絶対全部食べなかった。
お腹空いてても、半分は残して「おいしくない」アピール。
着るものも、いくらその人が用意してくれても
別の服を引き出しから出して着た。
可愛くない子供だったろうと思う。
ある日突然バシッとほほを叩かれてからは、堰を切ったようにD Vが始まった。
ごはんはお皿にちょこっとのせて、しょうゆをかけたものを床に直置きして
「食べる前にワンっていいな!」とか言われた。
私が部屋に入ろうとしているのを知ってて、わざとドアを閉めて挟んだりして
痛くて泣いてたらさるぐつわされて押入れに放り込まれた。
だんだん父が気が付いてきて、私に昼間のことをしつこく聞いてくるようになったけど
私は父も敵だと思ってたから何も言わなかった。
そのあと、どういう話し合いがあったのか分からないけど、
また突然父に連れられて元に家に戻った。
戻った前後のことは覚えてないけど、気が付いたら元の家で
元通りの生活に戻ってた。
たぶん母は父を許し、元の鞘に収まったんだろう。
その後弟と妹も生まれて、お姉ちゃんになって、普通に暮らしてたけど
高校生の時に、何がキッカケだったか忘れたけど
短かったあの女の人との暮らしを思い出した。
女の人を憎いとかそういう感情は今更沸かなかったけど、
父のことが許せなかった。
だけど、今現在普通に幸せと思える5人家族の暮らしを思うと
母がどんな思いで父を許し、家族を再構築したのかを思うと
昔のことで今更私がグレるのは、母の努力を無にするような気がして
黙っているしかなかった。
だけど結婚が決まって母と一緒に衣装合わせに行ったあと
思い切って母に聞いたんだ。
私がいなくなったあと、どうだったの?って。
そしたら覚えていたことに衝撃を受けていたみたいだった。
真っ青になって、そのあとポロポロ涙をこぼした。
あーやっぱり言うんじゃなかったかなと後悔したけど時すでに遅し。
でも母は「子供を連れていかれて平気な母親がどこにいるんだ」って言った。
おまえを連れて戻ってくるまでの間、気が狂いそうだったとも言った。
探して探して、あちこち探したけど、父は会社辞めてたし
義父母は行先を知らないって言うし途方に暮れて
子供が戻ってくるなら、今までのことは全て水に流してもいいって思ったって。
母を泣かせてしまったけど、母の思いを知れたのは良かった。
その後、父の方は私が覚えてたということを知らないまま
私が結婚して数年後に急タヒした。
正直言って、最後まで父のことは本音の部分では冷めていた。
どんなに偉そうなことを言っても、裏切者って思ってた。
未だにお墓参りに行っても形だけって感じで、娘としての感情はない。
だけどもうどうしようもない。
いっそ、そんな記憶なんてなければ良かったのに。
子供の記憶って舐めたらあかんぜよ。
>>575 も、母ちゃんも頑張った。
再婚とか、事情あったりして、新しい父ちゃん新しい母ちゃんあるんだろうけど
ちゃんと説明とかフォローとか大事だな。
>>573みたいなの読むと
浮気とか不倫とかするやつは単独でやれと思う。
子供だから分からないだろうと思っても
不穏な空気みたいなものって察知する。
自分も小さい頃に親と祖父母がしょっちゅういがみ合ってて
時々とばっちりがきて怖くて泣いてたことがあったな。
まぁ浮気とかではないけど、
今どんなに穏やかで知的な母親みたいなツラしてても
記憶は消せないからなぁ。
>>573
乙。
私だったら思い出した時点で父親に言っただろうな。
母親への思いやりも分かるけど、たぶん言う。
それぐらい罪深いことをしたんだと思うし。
コメント
幼児には何か神がかった力を持っている。身の危険を本能的に感じ、命を懸けて彼方の世界から母の世界に戻れたことは、あなた自身で勝ち取ったんだ。あなたは誰でもなく母を選んだのだ。