続き)
そこで、婚約者はようやく全て話し出した。
最初は、純粋に善意で俺の父親にも結婚式に出席して欲しいと考えていた……らしい。
そこで、俺の父親にメールで打診。
父親が言葉巧みに、
結婚式に呼んでくれたのは嬉しい、
でも(俺に)嫌われているから出席する訳にはいかない、
かつて事業を始めたばかりの頃、俺達に苦労をかけた、
従業員の教育に力を注いでいたから、誤解されたまま出て行かれた、
今は事業も安定しているし、右肩上がり、新しく事業を始めるには人手が足りてない、
俺を後継ぎにしたい、そうなれば婚約者も社長夫人になる、
最初の数年は忙しいかもしれないが、落ち着けば左うちわで暮らせる、
新婚夫婦の為に、新築の家を用意したい、
等々と言っていたそうだ。
婚約者はそれを真に受けたのと同時に、友達への見栄や、優雅な生活に憧れて、
俺に和解を訴えていた、という事だった。
俺の父親からすれば、
(こういう言い方は申し訳ないが)世間知らずの小娘を騙すぐらい簡単だったと思う。
事実、騙されていたし。
俺としては、
その脳天気なところ(世間知らずも引っ括めて)が、俺に無いモノだったから、
そこに惚れてプロポーズしたんだけどな。
そして世の中には、善意だけでは通じない相手もいる事を、
ようやく理解してくれた……と思う。
とりあえず、結婚式に俺の父親は呼ばない事で決まった。
日取りや式場も、婚約者が俺の父親に言ってしまっていたので、
変える事になる(キャンセル料が発生する)が、それは社会勉強代として、
婚約者の両親の意向もあり、婚約者自身の了承もあり、婚約者が払う事になった。
(そのまま結婚式をしていたら、俺の父親が押しかけてくる可能性がある為)
婚約者の両親は、終始、世間知らずな娘で申し訳ないって頭を下げてくれていた。
婚約者も勝手な事をしてごめんなさいって、謝ってくれた。
俺も父親の事で、かなり感情的になっていたから、そこは素直に頭を下げた。
これで、一応、婚約者方面の修羅場は一段落した。(続く
途中だけど、とりあえず婚約者が理解してくれたのは良かったね。
けど、まだ「色々あって混乱」までは話が行ってないか。
どうなったんだろう・・・(gkbr
クソ爺に制裁とまではいかなくとも
それなりに釘指せたかどうかが「色々あって」のキモだな
続き)
興信所で調べて貰って、分かった事だったんだが……。
破産した筈の父親が、どうして新しく会社を始められたのか?
その資金は誰が出したのか?
その疑問が解けたんだが……。
全額ではないようだが、かなりの額を妹が貸していた、という事だった。
(当然のように、1円も返してもらっていない)
妹は、高校を卒業すると同時に公務員になっていた。
衣食住を丸々面倒見てくれるところだから、給料は全て自分で自由に使えていて、
母親への仕送りも、普通にしていたから、給料の他の使い道については、
俺も母親も詮索していなかった。
ところが、残りのほとんどを父親に出していたという事が発覚したのが
新たな修羅場。
その件で、母親と俺と妹で家族会議をしたところ、
妹は、私が断ると俺や母親に迷惑をかける事になる
(俺や母親に借金の打診をしてくる事を恐れたようだ)、
という事で断り切れなかったらしい。
幸いな事に、妹自身が何処かで借金をしているという訳では無いようだが。
とりあえず妹には、
父親に金を渡す必要はない事、何かあれば俺に言う事、俺は迷惑ではない事を告げ、
携帯を全て新しくさせて、父親と連絡がとれないようにした。
そして(これがある意味、一番心苦しかったが)
地元の友人に連絡先を教えないように言った。
俺の時もそうだったが、父親は地元では本当に外面が良くて、評判が良い。
地元では、母親や俺、妹は、父親を裏切った裏切り者となっているぐらいに……。
なので、地元の人間に連絡先を知らせる=父親にバレる事だ、と。
妹も、父親の酷さは理解しているので、泣く泣く地元の友達との縁を切ってくれた。
金に関しては、現状でも火の車の父親から返してもらえるとは思えないので、
諦める事となった。
弁護士に相談して取り返すという案も出たが、
俺と婚約者の一件を聞いて、関わりになりたくないという事で、最終的に一致した。
一応、念のために母親と、婚約者一家の携帯も全て一新した。
妹は引っ越し出来ないが、母親は引っ越す事になった。
母親の引っ越しは、母親も最初はかなり渋っていたが、
父親から逃げる為にはやむを得ないという事で納得してくれた。
俺自身は、もう少ししたら婚約者と新しく部屋を借りる事になっているので、
それまでは、俺が窓口として父親の暴発を防ぐ形になる。
(当然、新しい部屋に引っ越したら携帯を一新する予定)
以上で、修羅場は終了したと思う。
コメント
修羅場は続くよ、どこまでも