大学生の頃、図書館で調べものしていたら、空いてる席はたくさんあるのに何故か私の隣に座ってきた女がいた。
(何だコイツ)
と思ってたら、メモを1枚スッと寄越してきた。
『少し話をしてもいい?』
って書いてあったけど、鬱陶しいので黙って首を横に振った。
そしたら今度は
『アルバイトしない?』
って書いたメモを寄越してきた。
それでも黙っていたら、次は
『公衆電話からあるところに電話するだけでいいんだけど、それで1万円』
って。
正直1万円には
ウキ!
ってなったけど、いかにも怪しそうなのでまた首を横に振った。
そしたら小さな声で
「変な仕事じゃないよ。
書いてる通りに読んでもらうだけだから」
って。
それで興味と、鬱陶しさから解放されたいのと、1万円の報酬に惹かれて
「どこの公衆電話?」
って聞いたら、
「図書館(2Fにある)の1階エントランスにあるやつ」
って。
(遠くに行くんじゃないならいいか)
と思って了解した。
内容によっては断るつもりだったけど。
で、一緒に1階に降りて行ったら、公衆電話の前でメモを渡されて
「女の人が出るはずだから、出たらこの通りに言って、言い終わったら切っていいから。
相手が何か言ってきても無視して切ればいい」
って。
メモには相手の電話番号と
『タカユキさん(だったと思う)と別れて下さい。
タカユキさんはもうあなたを愛していません。
私のものです』
と書いてあった。
(なるほどね…)
と思った。
要はこの女はタカユキって人の浮気相手か、もしくは片思いしてて家庭を壊してやろうってところか?
言われた通りに電話を掛けて、言われた通り女の人が出たのでメモのまましゃべって電話を切った。
「ありがとう」
と言って1万円をくれて、メモを取り上げて出ていった。
後ろ姿の写メを撮った。
そして隠れながら駐車場に向かう女をつけて、
乗り込んだ車のナンバーを覚えた。
それからエントランスに戻ってさっきの電話番号(市外局番なしの6桁だったので余裕で覚えてたw)に再度電話した。
「さっきの電話をしたのは私です。
図書館にいたら女の人に『こういう電話しろ』って言われただけです」
と告げ、女の人に聞かれるままに女の特徴を話した。
腫れぼったい一重瞼で肩までの長さのボブだったことや、車のナンバーも話した。
「写メも取ってある」
と言ったら
「送って欲しい」
とメアドを言われたので、
「帰宅してからフリーメールで送るってことでいいですか?」
と聞いたら
「それでいい」
と。
アルバイトとして頼まれたことはちゃんとこなしたけど、他言無用ともなんとも言われなかったのでセーフだと思っているw
ひとつだけ後悔してるのは、写メ送る時にその後どうなったか教えてもらう約束しておけばよかったってこと。
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