私の両親の話です。フェイクあり
父の実家は当時その地では割と有名な着物店だった。母方祖父はそこの従業員。
母は16ぐらいから好きあって交際していた男性がいたんだけど、父がたまたま弁当を届けに来た母を見かけて一目惚れ。
父方祖父母が我が子可愛さに母の気持ちや都合を無視して結婚しろ子供を作れとしつこく迫ったらしい。
結婚しなければ母方祖父をクビにすると脅され、K察に駆け込むが門前払い。
どうやらK察上層部と深い関係があるらしくてK察に縋っても無駄だと鼻で笑われた。
母は泣く泣く父と結婚して姉をもうけるが、何故男を産まないのかと詰られまくり。父は嫁を支配する立派な男子だぜフフンといった感じで助けることもしなかった。
父は、もう一度チャンスをやる。次こそ男梅と、いかにも女を産んだ失敗を許したうえにもう一度チャンスをやる心広い優しいボクチンな態度をとったという。
しかし孕んだのは女だった。それが私。
母は無能だ無能だと罵られ、挙句の果てには浮気。
母は泣いて浮気を責め立てるが、浮気した証拠がない、名誉毀損だと妊娠中の母を追い出した。
慰謝料はいらんけどそれ相応の責任を取ってもらうと母方祖父を解雇。
母方祖母は専業だった為、食うにも事欠く生活を強いられる母一家は、父の浮気と不当な解雇を訴えようとしたが、あそこの家は専属の弁護士がいるし関わったら職を失うと父一家の名前を出すだけで断られた。
お金もないしどっちにしろ訴えはりなんてできないんだけどね。
私の出産費用も無いかもしれないと不安になった母一家は、父一家に土下座して金を貸してくれと頼み込んだ。すると父は、
「そいつを産んだら今度は学費を集ってくるんだろう?嫌だね。
あ、一応言っておくけど腹の中のガキは俺の子じゃないって事になってるから」と一円も援助しなかった。そのまま離婚した。
あまりにも母一家を不憫に思って助けてくれたのが母実家の近隣に住む初老夫婦だった。
助けるかわりにうちの息子と結婚してくれと。母はまた望まぬ結婚をしなければならないのかと悩み抜いたが、2人の子供の為だと結婚を受け入れた。
初老夫婦の息子は容姿にコンプレックスがあり女の影が無い非リアだったらしいが、中身はびっくりするほど常識人で優しい。
これだけ人を思いやれる人がなんで彼女ができなかったんだろうと当時母は思ったと言っていた。
初老夫婦も血の繋がらない姉や私を本当の祖父母のように可愛がってくれ、息子さんも本当の父のように接してくれた(以後、義父)。
母方祖父も祖母も仕事が決まり、 順風満帆に生活力が向上していった。
義父と母の間にも子男の子ができて、初老夫婦、義父、母、姉弟3人の7人家族で幸せに過ごしてきた。
私と弟は平々凡々だったが、姉は凄まじく頭がよく、アメリカの大学に進学が決まった。母方祖父母、初老夫婦みーんな手を打って喜び鯛の刺身を買おう、高い肉ですき焼きにしようと盛り上がっているところに母方の実家に父から手紙が届いた。
母へ
姉がアメリカの大学に進学が決まったそうだな
さすが〇〇屋の血を引いた娘だ
お前に外国の大学に進学させる経済力があるのか?と疑問に思って調べさせてもらった。
金を持った男と再婚したんだな。
姉は血筋的には俺の娘。
ようやく〇〇屋の敷居を跨げる淑女になれたようだから、こちらの娘として返還を願いたい。
拒否するようなら弁護士を入れる。
母は真っ青になり嘔吐。胃に穴が空いて入院。
手紙の内容は姉の事のみで私の事は一切触れていない。おそらく私の名前すら知らんだろうな。
これに激怒したのは母方祖父母、初老夫婦、義父。
実は初老夫婦と義父はいずれも元ベテラン弁護士とベテラン弁護士。あのとき母を門前払いしたへっぴり弁護士とは知識も場数も違う。
実際に戦ってみたらあっさりと向こうが白旗を上げた。
そもそも父の代になった〇〇屋は経営が傾き業績も悪化。お抱え弁護士も逃げちゃってたよ。
当時の不倫相手と結婚して息子がいるらしいけど役に立たんらしい。
一昨年義父がなくなり、後を追うように母もなくなった。初老夫婦もずっと前になくなっている。
自分のタヒ期を悟った義父が、私の名前の由来を語ってくれたときは泣いてしまった。
桜の花びらを頭にくっつけて笑う妊婦の母が可愛かったんだって。
姉と私は50過ぎたし、弟も40後半。今はそれぞれの子供が楽しそうに人生を謳歌しているのを見ると
義父一家と母に感謝の気持ちでいっぱいになる。
>>190-192
約50年前か…それこそ新幹線が開通したとか東京オリンピックとか赤軍派とか
それっくらいな昔で、しかも地方だとそういう無法もまかり通ってそうな時代ですね
70年代~80年代くらいでも、子供抱えた女性はまだまだ弱かったようなイメージ
バブル通り過ぎて90年代に男女雇用機会均等法とか施行されたあたりくらいから
女性一人でもなんとか生きてけるくらいの時代になったような感じ
コメント