東京着くまでの暇潰し。
もう終わった話な。
大学卒業と共に三年付き合った彼女に振られた。
他に好きな男が出来たから。
結婚を考えていた俺は落ち込んだ。
そりゃもう飛び降りるんじゃないかと周りを心配させるくらいに。
そんな俺に優しい言葉を掛けてくれたのが配属先にいた女の子。
高卒の彼女は俺よりも歳下だけど、一応会社では先輩。
仮名で凛子としよう。
凛子はちょっとシャレにならない位可愛かった。
石原さとみを更に可愛くした感じ。
それに愛想も良かった。
何しろ振られた事を引きずっていた暗さ満点の俺の事を
あの手この手で元気付けようとしてくれていたから。
勿論社内ではもてた。もてまくってた。
だけど、俺はそれでも中々元カノの○霊から立ち直ることが出来ないでいた。
それからそれから?
凛子は確かに可愛いけれど、俺は彼女の事をそう思う余裕すらなかった。
加えてややネガティヴな俺は美人は信用できない、という思いから、
中々凛子に心を開くことも出来なかった。
だけと入社して半年経った頃、
上司に
「最近のお前、表情明るくなったよな。いい笑顔してるよ」
と言われ、愕然とした。
陰気くせえ、と言われる事はあっても、笑顔がいい、
なんて生まれてこの方言われた事が無かったから。
そしてこうも言われた。「凛子に感謝しろよ」
その時初めて彼女の事を一人の女として見ることが出来た。
これがすべての始まりだったんだ。
話し掛けてくる凛子を初めてまともに見る事が出来た。
いや、だからこそまともに見る事が出来なくなった。
可愛すぎたんだ、凛子が。
こんなに可愛くて美人の女の子と
半径5メートル以内に入ったことが無かった俺は、
逆に彼女と喋れなくなってしまった。
そしたら暫くしたら凛子に言われた。
「わたし、何か悪いことしたっけ?したんなら謝るから言って欲しい」と。
情けなくて泣きそうになった。
こんなに良くしてくれる人になんて態度をしてるんだって。
俺は思い切ってすべてを打ち明けた。
彼女に振られて落ち込んでいた事。
凛子が話し掛けてきても上の空だった事。
立ち直れたのは凛子のお陰だと上司に言われ、
初めて凛子の事を考えられるようになった事。
そして凛子があまりに美人過ぎる事に改めて気が付いて
どう接して良いか分からなくなった事。
美人は恐い、俺みたいな男とは住む世界が違うので
関わらない方が良いと思っていた事を。
凛子は笑っていた。全部知ってたよと。
だけど最後のだけは納得したくないな、とも。
「美人なのはよーく知ってる。だけど恐くないよ」
そう言う彼女に俺は惹かれた。
一年経っても相変わらずの凛子。彼氏の影も見当たらない。
元カノと別れたのは凛子に会うためだったのかも、
と都合良く考えた俺は、身の程弁えず告白した。
俺はいつも全力だった。
「絶対に幸せにする。結婚前提に付き合ってほしい」
と言ってしまったんだ。
呆気にとられる凛子。
だけどすぐに微笑んでくれた。
「こちらこそよろしくお願いします」
腰が抜けそうになった。
この世に生まれたことを感謝した。
元カノに感謝した。
初めて嬉し泣きをした。
コメント
素晴らしいクズだな
今すぐ始末してこい
金属バットで頭部をフルスイングだ
コロせば少しは楽になれるかもしれないのに、、(´・ω・`)
出だしから嘘くさくて読む気失せた
凛子笑
創作乙