ただ、毎日彼が日本に電話をすることを除いては。
一度だけ、彼女と話す事になりました。
彼女はとても心配していました。
バカな私は、心配する事はない、彼はあなたしか
見ていないし、私達が戻る事はあり得ないとまで言って
彼女を安心させてやりました。
すると、やっぱり彼女はどう贔屓目に見ても
バカとしか思えない事を私に言ってのけました。
「本当?信じていいの?じゃあ、あの人、私にちょーだい。」
唖然とするしかありませんでした。
でも明日には日本に帰るのだし、もう何もかも終わりだし
私は意外とさっぱりしていました。
しかし、次の日私達は日本に帰りませんでした。
運命のいたずらなのか、私達が帰るはずの飛行機は
機会のトラブルか何かで欠航になってしまったのです。
航空会社が用意したホテルで、
私達はもう一泊することになりました。
美しく楽しく終わるはずだった旅行が
急遽延びてしまったので私達は力尽きてしまいました。
これは神様の思し召しだ、私達は別れてはいけない。
そんなことが頭をよぎりました。
翌朝は4時に空港ということで、眠るにも眠れず
私達はどうしていいのかわからずに
いたずらに時が過ぎるのを待つしかありませんでした。
そして私達は、寝てしまいました。
>>61さん
そうですね、それはつき合っていて
ずっと私が思っていた事でした。
彼に対する唯一の不満でも。
>>62-63さん
ありがとうございます。
まだ続いてしまいますが・・・
彼も私も、疲れていたんです。きっと、とても。
寝ればまた何かが変わるかも知れないと
お互いがそう思っていました。
ずっとレスだったのに、最後に頼るのは
体だったなんて皮肉なものです。
でも、もうこぼれたミルクはお皿には戻りません。
彼に求められて嬉しいはずの私は、寝てみて初めて
自分の恋愛感情としての気持ちをとうに失っている事に
気付いてしまいました。
彼は私の半身で、家族でしたが、恋人ではなかったのです。
かけがえのない人であることには変わりはないのに。
そしてまた、彼も同じ気持ちだったのだと思います。
後悔はしませんでしたが、哀しい行為でした。
恋人ではないけれど、離れたくないという
アンビバレンツだけが深い虚無感と共に
私の中に残りました。
そして私達は、今度こそ恋人としての
終わりを実感しながら空港に向かいました。
日本に帰れば、彼女の希望通り、私達は縁を切る事に
なっていました。
家族として親友として、これからやっていくことも
できたかも知れないのに。
3年つき合って得たかけがえのない人を失うのは
想像もできない程恐ろしいに違いない。
今度は飛行機は無事離陸し、10時間後には
日本に到着するはずでした。
ところが、またもやそう簡単に日本には戻れませんでした。
つ、ついらく!?
機内に急病人が出て、急遽ホノルルに
緊急着陸することになったのです。
今度は泊まらずに済みましたが、
10時間のはずのフライトは結局
20時間以上もの時間がかかりました。
別れの時を少しでもいいから遅めたいという
私の気持ちが通じたのでしょうか。
成田に着いて、私達は最後のお茶をしました。
私は精一杯、自分の気持ちを彼に伝えました。
やはり失うのは辛すぎる、と。
彼も同じ気持ちでした。
彼女を説得してみると、私との縁を切りたくないと。
涙が溢れて止まりませんでした。
そして私達は友達どうしがするような抱擁をして
帰路につきました。
翌日から私は会社に復帰し、また普通の毎日が
始まるかにみえました。


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