飯の中では、お互い出会ってから日が浅いということもあり互いに質問攻めだった。
どこ出身?なにが好き?やっていたスポーツは?仕事は?
他愛もない話が大半を占める中、ひときわ盛り上がったのが色恋沙汰だった。
「彼女いないの?」
「いないよ、いたら二人で飯なんてこない。 もっちーは?」
「私もおなじ」
「そっか」
そっか、なんて素っ気なく返したけど、内心喜んでた。
そこで、過去の彼女の話を聞かれた。
この時、どーするかなぁと思ったけど、何故か全部しゃべってしまった。
そう、婚約破棄のこと。
普通そんな話されたら、「えーかわいそう」とか表向き同情して、中ではドン引きするとか・・・そういう反応なんだろうな
と思っていたら彼女は違った。
「えーマジ?彼女の写真見せてー?」
よく分からない喰いつき方だった。
言われるがまま見せると、今度は
「あー、私は嫌いな顔だわー」
「なんか、フリフリの服とかきてそう」
なんだこいつ。それが率直な感想。
でも、今まで見た事ないリアクションで正直新鮮だった。
そっから話はまた盛り上がり、逆に彼女の元カレ話になった。
そこから、彼氏にするならどんな人?という話になり・・・
「じゃあ俺は?」
と聞いてしまった。
「んー」
「ありだね」
正直、心臓バクバクだった。
もっちーとはそれから、頻繁に飯に行くようになった。
夜、仕事が終わったタイミングで一緒に行ったり・・・。
そろそろ、飯ではなくデートのようなものがしたい。そう思った俺は、ちょうどほしいシューズがあったのを思い出した。
「隣街に美味しいステーキ屋がある。ちょうど隣町のお店でほしいシューズがあるから買い物付き合って」
「付き合ってくれたらステーキおごるよ」
そんな誘い方をすると、彼女は
「えー・・・休みに>>1
と遊ぶのはちょっと・・・」
なんだこいつは。 今までこんなストレートに言ってくる奴はいなかった。
楽しくて仕方なかった。 女の子としゃべるときって少なからず、何かモテを意識してしゃべるんだけど、こいつとは本当に気兼ねなくしゃべれた。
でも、ぜんぜん俺には気がないんだな。 っていうのはわかってた。
分かってたけど、好きになってた。
そこから、また飯とかどんどん誘った。
そしてある時、ラインで夜中にこんなことを言われた。
「もう寝てるかな? あー仕事がおわらなーい。 これから徹夜でがんばるから、もし起きたら、がんばってね。 って言ってね」
俺はもうすぐに、電話をかけた。
「もしもし? 仕事終わらんの?」
「終わらん、大変」
「そっか。 がんばれ」
「ありがとー。 手伝ってよーww」
彼女が持ち帰って仕事をしているのは知っていた。そして、書類をパソコンでベタ打ちするだけで終わるレベルってことも。
俺の部屋にあるノートパソコンに目をやって、「いいよ」
そういった。
結果、彼女の家に深夜1時ぐらいにお邪魔し、彼女の仕事を手伝ってあげた。
「優しいね、ありがと」
そう言われて、本当にうれしかったのを覚えてる。
その3日後ぐらい、彼女が風邪をひいた。
深夜まで仕事をしていたから疲れたのかな?といっていた。
俺はすかさず、彼女のためにポカリとのど飴を買い、彼女の家に向かった。
起こすのも悪いと思い、ドアノブに引っかけてその場を去った。
ラインが彼女から届き、「ほんと優しい・・・」といわれ、また胸が高鳴った。
風邪が治ったころ、彼女と出会った時に一緒にいた、男友達の誕生日があった。
彼女と友達にサプライズで祝おうということになり、男友達の家の前で、他の友達と一緒に隠れていた。
すると、彼女がどこかへ行ってしまった。というより、背が小さすぎて車の後ろにいて見えなっただけだが。
だが、そこにいた奴は全員彼女がどこかへ消えたと思って俺に言う。
「おい、もっちー消えたぞww」
男友達はみんな、もっちにー俺が惚れていることを知っていた。
だから俺も
「やべぇ、それは困る」
そんな時、もっちーがひょこっと出てきた。
「いるよー」
その時、いると本当に思っていなかった俺は、冷静を装いながらも冷や汗ダラダラだった。
何が困るの?とかつっつかれたらどうしよう・・だがそれは杞憂だった。何事もなかったかのように、男友達を呼び出し、サプライズが続けられた。
コメント