父は弟にも話をした。最初弟は今さらあっても。。。という感じであまり乗り気でない感じだったが「今会っておかないと絶対後悔する」と(根拠はないが)説得した。
2,3日後に弟と私で国道沿いのファミレスで母に会う事になった。
会うまでの間、いろんなことを考え、混乱した。なぜ出ていったのか、私たちをどう思っているのか、今何をしているのか、聞きたいことは山ほどある。
でもそれを聞いていいのか、聞いたところで何になるのか。それならば会わない方かいいのか。
一番聞きたかったのは私たちを捨てた理由はやむを得ない事情があったのではないか?それを母の口から聞きたい。ということだった。
会う当日は夕方から会う事になっていた。春休みで受験も終わっていたので普段は昼まで寝ていたが8時には目が覚めて一日中そわそわしていた。
弟は部活に行ってた。「あと数時間でお母さんと会う、数時間後私たちは何を話しているんだろう」そればかり考えていた。
弟が帰ってきて二人で自転車でファミレスまで行った。
ファミレスの店内に入ると店員の「何名様ですか?」より先に母が手を振っていた。
母の席に着く。母は自分の記憶の母よりかなり老けておばさんになっていたが、遠い昔の記憶の片隅に残っていた母だった。
母を直視できず、10秒位間があった。何を話せばいいのか分らなかった。
「久しぶり」それが10年振りの最初の母の言葉だった。
母はいろんなことを聞いてきた。最初は緊張のため母からの質問に答えていただけだったが少しづつ段々自分から話が出来るようになった。
学校の事、友達の事、進学の事、小学校のころ鉄棒にぶつかってでっかいたんこぶを作ったこと、部活でもう少しで全国大会に行けなかったこと。
いつの間にか止まらなくなっていた。聞いてほしい事がどんどん出てきた。母はニコニコ聞いてくれていた。
あまりに私がしゃべってばっかりいるので弟が「自分ばっかしゃべりすぎだよ」と諭された。
私は母がいなくて寂しかったことはない。と自分で思っていた。
でも母と話していると私は母に聞いてほしかったことが止まらなかった。きっと母がいなくてさみしかった。母に会いたかったが自分の気持ちを押し○していただけだったと気付いた。
楽しかった。あっと言う間に時間が過ぎて、窓の外はすっかり暗くなっていた。先日買ってもらったばかりのPHSが鳴った。父からだった。
父は「久々なんだからまだ話しててもいい」と言っていたが母はあまり遅くなっても危ないからとその日の面会は終了となった。
最後に母は「自分勝手な母のせいで苦労掛けたと思います。本当にごめんなさい。本当に身勝手なお願いだけどたまにでいいから今日みたいに会いたい」母は泣いていた。
私も弟も二つ返事で了承した。
「私子、弟男、今日は本当に本当にありがとう。優しい子に育ってくれてうれしい。」
「お父さんに感謝だね」
しきりにそう言っていた。私たちがお父さんに感謝しなさいという意味なのか、それとも、母自身が父に感謝しているという意味なのか分からなかったが、多分両方の意味だろう。
帰り道、母はちゃんといて私たちの事を気にかけていてくれた。これからは母と話が出来る。そう思うと嬉しくてたまらなかった。
一番聞きたいと思っていた、母が出ていった理由などどうでもよくなっていた。
家に帰り父に今日のことを報告した。嬉しかった、楽しかった。興奮気味に話す私たちの話を優しく聞いてくれた。
「もうお母さんとは暮らせないの?」
深く考えずに言ってしまい、まずい事聞いてしまったと思った。
父は少し暗い顔をした。
父「2人は母さんと暮らしたいか?」
私&弟「うん」
父「母さんが出ていった理由は聞いたか?」
私「聞けなかった。」
それでその話題は終わってしまった。
数日後「ちょっとついてこい」と私たち兄弟を連れ出した。
席が個室になっているレストランだった。母が店の前で待っていた。
何が始まるのか何となくわかった。
父「2人に今までの経緯を全て説明する。そのうえで自分たちがどうしたいか決めてほしい。」
母は覚悟を決めたように話し始めた。
前の夫(私の血縁上の父)とは結婚する前から働かずパチ○コばっかりして金が無くなると金の無心ばかりしていた、私子を妊娠したので結婚したのでこれを期に働いてくれるかと期待したがダメだった。母の貯金を食いつぶして出ていった。
私子を一人で育てる覚悟をして実家に帰った。でもまだ前の夫に未練があった。もしかしたら心を入れ替えてやり直したいって言ってくるんじゃないかって思ってた。でも1年待っても2年待っても前の夫から連絡は無かった。
地元に帰ると地元の友達が心配して様子を見に来てくれた。その一人がお父さんだった。
お父さんはしょっちゅう遊びに来てくれて、沈んでいた母を私子と連れ出してくれたり、面倒も見てくれたりしてくれた。前の夫の事も相談していた。
私が2歳の時に父は母に「お前も、私子もまとめて幸せにしてやる」とプロポーズして二人は結婚した。
程なくして弟男を妊娠⇒誕生となる。
それから3年程経って突然、前夫が母に連絡をしてきた。前夫は母に復縁を迫った。前夫への気持ちが蘇り、そのまま不倫関係になってしまった。不倫関係は半年近く続いた。前夫は父とは離婚して母と再婚しよう、言って来た。子供たちは父に任せればいいと。
母は前夫に気持ちがあったが家族を捨てる決断は出来なかった。
そんな母にしびれを切らし前夫は父と子供がいないすきを見計らい半ば強引に母を連れ出した。私子と弟男が気がかりだったが父は子煩悩で優しい人だから自分がいなくてもちゃんと育ててくれると思い、そのまま家出をした。
コメント
許すと言うのは簡単でもあり難しくも有るのね。家族の絆と男女の絆は、脆くも強くもあるのね。今は幸せで何よりです。
確かに、血の繋がりよりも、子供に対する愛情です。
この一家が幸せになる呪文を唱えます。
女って楽よね
お父さんスゲエ男…いや凄い人間だね。最善最高の言動だとは、理屈では分かっていても、感情が邪魔をして、とてもじゃないが自分には無理。お幸せに。
女って楽だなぁー
元夫の便所になってガキ捨ててもノート書いとくだけで許されるんだからw
あーうらやましーw
俺も今日の帰りにノート5冊くらい買っとくかーw
この母、本当に自分から元夫と切れたんだろうか?
よく子の前に顔出せたなクズ同士のたれ死ねば良いのに