でも結局私は三人の子供を生んで、育児生活に追われて職場復帰どころではなく、十余年の月日が流れてしまっていた
その間に課長は部長に昇進していた
で、上の子が小6になって始めて三人の子を進学させるのに我が家はかなりお金が足りないという事に気づいたわけ
幸か不幸かうちの子は三人共勉強がかなり出来る
間違いなく大学まで進学するだろうことは容易に予想できたので、さあこれは困ったぞと
夫も「僕の給料がもっと高ければいいんだけど、ごめん」って頭を下げられた
「大丈夫、心配しないで、私も働くから」って
十余年が過ぎてはじめて私は毎年書き添えられていた職場復帰の言葉をリアルに考えるようになった
夫に相談し、私は部長(課長)に電話した
「お茶くみで良いので雇ってください」って
こんなおばさんにお茶くみもないけど、とにかく何か仕事くださいって頼んでみた
部長は「ようやく決心してくれたんだね」って雇用担当に頼んでくれて、私はすぐに採用された
十何年ぶりかに出社してみると営業部の面子もかなり変わっていて課長も部長に昇進していたし、同期のぺーぺー君が係長や課長になっていた
「やー全然変わっちゃいましたね、私ついていけるかな」って部長に言ったら
「君は才能あるから直ぐに追いつけるさ」って励ましてもらって
「や~あなたが伝説の」とか「お噂はかねがね」とか若い子達に持ち上げられて「部長いったいどんな紹介したんですか」って私が言ったら「俺は事実しか言ってないよ」って
まぁ、そんなこんなで私は再び元の会社に復帰したわけだ
私はしばらく部長付きの秘書兼営業という事で行動を共にする事になった
手前味噌で恐縮だけど、やはり私には営業の才能があるようで、成績はみるみる若い子のそれを追い抜いていった
「噂通りですね」って言われて素直に嬉しかった
技術開発に居た影響で多少の機能的不満はプログラム書き換えさせて臨機応変に対応できたのも強みだった
技術開発時代の同僚も偉くなってたし色々助けてもらった
夫の存在も大きい
そこそこ大きい会社だから当然トラブルもあった
私が落ち込んでも、君には四人の強力なサポーターがいることを忘れないでって言って慰めてくれた
会社を辞めても帰れる家があるんだよって
その言葉で開き直れた
私は部長と一緒に次々難敵を陥落させていって、三年目には圧倒的な売り上げを評価され社長賞を頂いた
私の年俸はあっさり夫を超えていった
来年から部長は常務、私は二段跳びで次長との内示がきた、嬉しかった
当時の夫の年俸は350万弱
年齢的に考えるとけして高いほうではない
でも私は彼を軽んじてなどいなかったし、年俸が再び高くなっても彼への愛は不変だった思っていた
三人の子供も思いやりのある子に育ってくれて私は大好きだった
私自身も愛されていた
でも私は家族の信頼をあっさり裏切ってしまった
1年余の月日を経て、じわじわと蘇ってくる記憶を頼りに考えてみると、その頃既に私の心の中に綻びがあちこち出来ていたように思う
いや思う、ではなく、出来ていたんだ、うん
二人で成果を挙げだした時のことを改めて思い出してみると語彙不足な私は上手く表現できないけれど、そこに恍惚とした甘い何かを私は感じていた
多分部長もそれは感じていたと思う
それを達成感と一言で片付ける事もできるけど、違うね、私の本心が違うと言ってる
それに行動を共にすると、お互い波長を合わせようとするからそこに阿吽の呼吸みたいなものが出きてくる
それは仕事においては良いことなのだけれど、男女の関係においては微妙な危険をはらむものだ
たとえば冗談の言い合いとかでも絶妙なタイミングで切り返せるようになる
「まるで夫婦みたいですね」と同僚にからかわれたりした
「だって家のかみさんよりも一緒に居る時間が長いもんな」って部長に言われて
その言葉を聞いて確かに私はまんざらでもない気分になっていたんだ
思い出すと凄く胸が痛むけどそれが事実なの
これはもう潜在的な不貞行為だったと思う
それに二人で一緒に行動してるからって社食でいつも向かい合わせに昼食とっていたのもマズかった
危機管理がきちんとしている人ならお弁当にするとかして何とか上手く回避するはず
私はそれをせず「たまには外に蕎麦でも食いにいくか」と誘われると、それすら断りもせずそそくさと部長と行動を共にした
完全に緩んでいた
そして私は決定的な過ちを○してしまう
思い出すと心臓がギュッと締め付けられる
凄く苦しい
私と部長は2年越しで超大型顧客獲得に奔走していた
そこは仕入れ担当と競合他社が鉄板の関係を結んでいて実質上落城は不可能だと社員の誰もが思っていた
しかし落とせば約百億の大きな仕事、やり甲斐はある
競合他社は仕入れ担当にいわゆる袖の下を使っていた
まあそれくらいの仕事になると我が社もそういう手を使うから人のことをとやかくは言えないけど
その仕入れ担当は年間2~3千万くらいのバックマージンを貰っているという噂もあった
それどころか何処かの美人コンパニオンを営業担当に雇い、枕営業させていたという話もある
正面から当たっても落城は不可能だと判断した私達は、つてを使って仕入れ担当の上司に取り入った
別の会社の交合で偶然を装って接近し、ゴルフ接待にもっていった
部長はそういう方向に持っていくのが絶妙に上手い
私も下手糞ながらに同行した
帰りに飲ませてタクシー代といって必ず十万渡した
当然特別営業費で落としたけど
それでようやく小さな仕事は貰えるようになった
汚いと思われるかもしれないけど、この国にはいまだにそういう風習が残っている
私達は遠まわしに御社の仕入れ担当が数千万円のバックマージンを貰っていると担当上司に吹き込んだ
競合他社が他所に降ろしている価格を調べて教え、御社はこの価格で仕入れているはずだから差額がこれだけある、残りは何処に行っちゃったんでしょうかね?みたいな事を言ったら「あいつそんなに抜いてやがったのか!」ってさすがに怒ってた
そういえばポルシェを買ったとか言ってたとか何とかえらく憤っていた
結局、仕入れ担当が二ヶ月の短期出張に言ってる間にそれを告発し、仕入れ担当は出張先で戻れぬ身となった
私達がそれを知ったのは部長と外回りをしている最中だった
午後4時くらいで会社に戻る途中だったと記憶してる
部長の携帯に連絡が入って「お宅の製品を入れるようになったから、よろしく」と言ってきたらしい
「やった~~~!!」って、二人で人前もはばからず万歳三唱した
だって百億の仕事だ、今までの仕事とは桁が違う
「やった~!」って言いながら万歳した手で部長とハイタッチ
そして「よかったね~」と言いながらお互いハグし合った
この時は3年以上経った今でも厭らしい気持ちはなかったと思っている
しかしハグはやりすぎだった、猛省しなければならない
とにかくその時周りの人が私達を奇異の目で見てたのだけは覚えてる
「飲みに行こう!」って部長が言って
「はいお供します!」って私は応えた
今まで二人っきりで飲みに行ったことは一度もない、さすがにそれはない
同じ部署の仲間と一緒に飲むことはたまにあるけど、それも駅前の立ち飲み焼き鳥屋だ
でも今日は特別、だって百億の仕事とったんだから上司と二人っきりで飲んでも許してくれるはずってこの時私は考えてた
ほろ○い加減で帰って、夫に抱きついて、今日の快挙を褒めてもらおうと思ってた
甘かった
コメント
なんだこれ
ナニコレ珍家族
実話かどうか知らんけどw
話としては中々面白かったと思います
どうみても男性的な文章なのと客観的な視点も男性的なのでほぼフィクションだろうと思うけど大変面白く読ませていただきました。
浮気バレの謝罪方法としては大変バイブル的な作品だと思います。
冗長な小説的な文体だからか、懺悔のような内容のわりに自画自賛てんこ盛りだからか、リアリティーを感じないなぁ。
只の病んでる人やね。スマホ横にして、(、。)見てみ?
多分だが、ライター志望者が誰かの日誌か何かを手に入れて、話を再構成したと思う。
時系列的にやや違和感を感じるし。
そう言う意味では実話を下地にしていると思う。
登場人物の中で間男部長が貧乏くじを引いたかな?
主人公嫁さんは結構なお嬢さん育ちでしょう。
何しろ親が娘一家五人が暮らせる一軒家を、都内に建てようと言い切るのだから。
>>3
ほぼ半分実話。実際には2003年頃の話し。
投稿者が嫁に感情移入した為に、嫁が不利にならない色々とオブラートに包んだ話に、再構成しているんだよ。
きちんと自己分析できているので、本当に反省して再構築に値する女性だ。
上手に子供達を仲間に引きずり込んで、夫を孤立させたクズ女
どこが?
旦那にしたら再構築の為に嫁と子供の関係を修復させる方を優先するだろ。